近年の宅急便事情

最近ではECサイトを利用して商品を購入することが増えてきており、利用したことが無いという人は少ないのではないのでしょうか。

一方でその負担が増しているのが、注文された荷物を配送する配送会社です。

特に宅急便に関しては、取り扱う荷物の数が人員や会社としてのキャパを超えてしまい、様々なトラブルに発展したことは記憶に新しい話です。

ここでは、そんな近年の宅急便事情や今後予想されうる流れについての詳細を見ていきます。

 

近年になってネット通販の利用が急増化

国土交通省が公開している「宅配便の再配達削減に向けて」によれば、宅配便の取り扱い数は年々上昇し、2008年度~2017年度の10年間で約32%も増えていることが指摘されています。

このことだけ見れば配送業界が活性化しているかのように思われるかもしれませんが、取り扱う荷物の個数が増えるに応じて再配達の量も上昇しているのが実情です。

実際に全体の荷物の内の約16%が再配達になっているとのデータもあり、それだけドライバーの負担が大きくなっていることが指摘されています。

また、問題となっているのはドライバーの数や負担だけではありません。

荷物の配送のために必要な自動車の燃料費や、荷物を保管しておくために必要な倉庫・配送所の管理費やシステムなどの維持費も負担となります。

高齢化社会に伴い、今後も更にネット通販の利用が増えていくことを考えると、配送にあたってサービス内容を見直すなどの対策が必要であることが分かります。

 

再配達を減らすために行われている対策

上記のことを踏まえて最近行われている対策が、再配達の数を減らすための内容です。

コンビニや駅の宅配ロッカーなど、自宅以外で受け取れる場所を利用するよう促したり、自宅で確実に荷物を受け取れる「時間帯指定」を利用するなどの対策を促しています。

加えて最近では、配送業者が宅配ボックスに荷物を預け、受取人が自身の都合がつくタイミングでボックスから荷物を受け取る「置き配」も注目を集めています。

荷物を配送するドライバーも、受け取る側の利用者もどちらも自身の都合に合わせられるため、互いにとって利益のある配送方法と言えるでしょう。

ただし、これまでの「置き配」は専用の宅配ボックスを設置する必要があり、利用できる人が限定されるなどのネックがありました。

そのような中で、個人で専用の宅配ボックスを設置しなくても「置き配」が利用できるような仕組みづくりを整えようと、不動産や物流業界を中心に新たな仕組みづくりが試されています。

例えば、住宅設備を取り扱う大手企業のLIXILでは、「スマート宅配ポスト」を提供しています。

これはスマホを通じて遠隔操作が可能な配ボックスで、宅配業者との会話や複数の荷物を受け取ることも可能で、セキュリティ面も万全であることから利用者も安心です。

その他にも、株式会社レスティルでは「posket」と呼ばれる簡易的な宅配ボックスを提供しており、こちらも宅配の再配達を減らすために役立つツールとして注目を集めています。

これら紹介したほかにも、様々な企業が再配達の負担を減らし、利用者にとっても便利と感じられるような宅配ボックスを提供したり、検討したりしています。

以上のように、近年ではネット通販の利用の急増化に伴い、配送業者への負担が懸念されていましたが、それを改善するための対応策が整いつつありのが実情です。

不動産会社など様々な企業の努力によって、配送会社だけでなく利用者にとっても負担が無く、便利と感じられるような配送の在り方が作られつつあるのです。

今後は再配達から「置き配」中心のシステムに変わっていくかもしれません。